1社の「志」を可視化する──最初の90分
ある中堅サービス企業。離職率の高さと部署間の分断に悩みつつ、「地域No.1のありがとう創出企業」というビジョンを掲げていました。しかし、その言葉は採用パンフレットとエントランスの額縁の中に留まり、現場の日常とは結びついていませんでした。
トゥモローリンクのプロジェクトは、経営陣への90分のヒアリングから始まります。ここで行うのは、スローガンの再作成ではなく、「なぜこの会社が存在するのか」「この事業で、10年後に何を変えたいのか」を徹底的に掘り下げる対話設計です。
経営者の口から出てきたのは、「地方で生まれた若者が『この街で働き続けたい』と思える選択肢を増やしたい」という原体験。私たちはこれをプロジェクトの核となる「志」と定義し、言葉だけでなく、具体的な行動イメージ(どんな接客、どんなマネジメントがそれを体現しているか)まで落とし込みます。
MEZAMEで「Will」とビジョンを接続する
次のステップは、管理職と若手リーダーを対象にした参加型未来プログラム「MEZAME」の実施です。ここで重視するのは、会社のビジョンを「理解させる」ことではなく、一人ひとりの「Will(自分は何にワクワクするのか)」と結びつけることです。
ワークの前半では、会社の歴史や創業エピソードを、経営者自身の言葉で共有してもらいます。そのうえで、参加者には「自分がこの会社で実現したい未来」を書き出してもらい、小グループで対話します。
ここで必ず起きるのが、「そんなきれいごと、現場は回らない」という抵抗です。トゥモローリンクはこの反発を押さえつけず、「なぜそう感じるのか」「今のオペレーションの制約のどこに本音があるのか」を丁寧に言語化させます。このプロセスが、後の行動変容の土台になります。
現場の抵抗を「設計課題」に変える
MEZAMEの後半では、「志」と「現場の制約」を同じテーブルに並べ、具体的な行動レベルのテーマに変換します。
- シフトがギリギリで、お客様と雑談する時間が取れない
- クレーム対応は上長任せで、学びが共有されない
こうした声をもとに、「地域No.1のありがとう創出企業」に近づくための小さな実験を、現場チームごとに設計していきます。例えば、
- 1日3回だけ、レジでお客様に一言質問を投げかける
- クレーム事例と対応を、週1回15分で共有する「ありがとう&学びミーティング」を設定する
重要なのは、「完璧な制度」をトップダウンで導入するのではなく、現場が自ら決めた実験として設計することです。これにより、抵抗は「やらされ感」ではなく、「本当に効果があるか試してみよう」という主体的なチャレンジに変わります。
行動変容が見えた瞬間と、測った指標
プロジェクト開始から約3か月後、いくつかの変化が現れ始めました。私たちが特に重視した指標は次の3つです。
- 対話の質:会議で「売上」「人件費」だけでなく、「この施策は志に近づいているか」という問いが自然に出るか。
- 協働の増加:店舗や部署の垣根を越えたプロジェクト(研修の共催、ノウハウ共有会など)の数。
- 自己承認の実感:「自分の提案が会社の未来に影響している」と語る社員の数と、その具体的なエピソード。
この企業では、若手リーダーが「ありがとう&学びミーティング」でのエピソードを本部に発信し、それが全社施策として展開されました。そのとき彼女が口にした「自分の小さな提案が、会社の当たり前になった」という一言は、まさに志が現場の行動に根づいた象徴的な瞬間でした。
入社後すぐに担う可能性のある役割マップ
こうしたプロジェクトに、新しく加わるメンバーが担う可能性のある役割は明確です。
- クライアント経営陣へのヒアリング設計・ファシリテーション補助
- MEZAMEプログラムでのグループワーク運営・記録、インサイト整理
- 現場の小さな実験(行動変容施策)の設計支援と効果検証
- プロジェクトレポート作成と、次フェーズの提案資料づくり
いずれも、「志」を理解する力と、「現場のリアル」を構造的に捉える力の両方が求められる仕事です。
選考前に取り組める3つのセルフワーク
変革実装の当事者として立ち上がりを早くするために、次の3つのセルフワークをおすすめします。
- 自分のWill言語化シート「過去3年で一番没頭した仕事」「そのとき、何が満たされていたか」「逆にエネルギーが下がった場面」を書き出し、自分のWillの共通項を見つける。
- 「志」を持つ組織の事例リサーチ共感する企業・団体を3社選び、「なぜそのビジョンに惹かれるのか」「どんな行動がそれを体現しているように見えるか」をまとめる。
- 現職・現場の「小さな実験」設計今の職場やコミュニティで、「自分のWill」と組織の目的が重なるポイントを1つ見つけ、1〜2週間で試せる行動実験を具体化してみる。
これらに取り組むことで、自分自身の「志」と向き合いながら、トゥモローリンクのプロジェクトで求められる思考やスタンスを、事前に体感することができます。