成果主義の“痛み”から生まれたカルチャー観
株式会社トゥモローリンクは、人材業界で「成果だけを求められる痛み」と、「人と組織の不全」がもたらす消耗を熟知したメンバーによって立ち上がっています。ミッションは「採用が未来を切り開き、職場環境が個人の成長を促す」。成果追求を否定するのではなく、ビジョンと結び付いた成果に変えることを重視しています。「はたらくがもっともっと前向きに」というビジョンのもと、社内では数値目標と同じレベルで「対話の量と質」をマネジメント対象にしているのが特徴です。
週次「対話ミーティング」で何を話しているのか
トゥモローリンクの週次ミーティングは、単なる進捗共有ではなく「感情と意味づけを扱う場」として設計されています。構成はおおむね次の3ステップです。1) 冒頭5分:コンディション共有(今の自分の状態をひと言で)2) プロジェクトの事実共有(数字・成果・出来事)3) モヤモヤ・学びの対話(うまくいかない理由を人ではなく構造から考える)。全員が毎回必ず一度は発言するルールがあり、「沈黙していても評価はされないが、安心して本音を言うことは評価される」と明示されています。
MEZAMEを自社にも適用する「Willと事業」の接続
同社の特徴的なサービスである参加型未来プログラム「MEZAME」は、クライアント向けだけでなく、自社メンバーにも定期的に実施されています。目的は、一人ひとりのWill(何をしたいのか)を言語化し、会社のビジョンとどう重ねるかを対話で探ることです。たとえば、「若者のキャリア迷子を減らしたい」「地方企業の採用力を上げたい」といった個々のWillから、新サービス案や既存事業の改善テーマが生まれます。これにより、「会社の仕事」ではなく「自分のテーマ」として事業にコミットできる状態をつくっています。
ヒエラルキーを弱める情報共有の工夫
「本音で話せるワンチーム」を支える前提として、情報の偏りを極力なくす工夫があります。具体的には、売上・粗利・案件状況などの数字を週次で全員にオープンにし、代表が考えている打ち手や懸念もそのまま共有します。意思決定の背景が見えることで、「なぜそうなったか」を想像する負荷が減り、上司への遠慮も和らぎます。また、議事録は「決定事項」だけでなく「検討したけれど採用しなかった案」まで残すのがルール。これにより、序列よりも「事実と論点」で話し合う文化が育ちやすくなっています。
「合わない」「モヤモヤする」を安全に出す場づくり
同社では、衝突を避けるのではなく、「安全に衝突できる」状態を目指しています。代表との1on1だけでなく、メンバー同士のペア対話も月1回必ず設定し、「最近のモヤモヤ」「合わないと感じる価値観」をテーマに話す時間を取ります。この場では、相手を変えようとせず、「そう感じる背景」を聴き合うことがルールです。評価や人事と直結しないことを明確にし、あえて業務とは関係の薄い違和感も扱うことで、感情の澱がたまらないようにしています。
職場で試せる“ミニMEZAME”3つの問い
今いる職場でも実験的に使える簡易ワークとして、次の3つの問いを定期ミーティングの冒頭5分で回してみることができます。1) 最近の仕事で「一番うれしかった瞬間」は何か2)その瞬間に、自分のどんな強みが発揮されていたか3)それをもっと発揮できるように、チームや上司に「こうしてほしい」というリクエストは何か。答えを一人ずつ共有するだけでも、メンバーのWillと強みが見え、仕事のアサインや支援の仕方を見直すきっかけになります。
転職先の「対話文化の本気度」を見抜く視点
カルチャーから会社を選ぶには、「対話があります」といった抽象的な言葉より、具体的な仕組みを確認することが重要です。たとえば面接で、1) 定例ミーティングのアジェンダと議事録を見せてもらえるか2) モヤモヤや衝突を扱う公式な場があるか(頻度・参加者・ルール)3) 社員のWillやキャリア希望をどう把握し、配置や評価に反映しているか、を尋ねてみると、その会社の本気度が浮かび上がります。制度と習慣の両方から、対話文化のリアルを見に行く視点が鍵になります。