導入前:月曜の朝に流れていた「諦め」の空気
関西に拠点を置くあるサービス企業。社員数はおよそ150名、売上は順調でしたが、社内の空気はどこか冷めていました。
- 部門間の分断:営業とバックオフィスが互いを「敵陣」のように扱う
- 上意下達の風土:会議は「決定事項の通達」。意見はほとんど出ない
- 若手の離職意向:30代以下の半数近くが「1年以内に転職を検討」と回答
人事責任者の一言が印象的でした。「本音なんて出ない会社なんです。そういう前提で仕組みを作るしかないと思っていました」。
代表の志を「現場の言葉」に翻訳する
トゥモローリンクが最初に行ったのは、経営陣へのインタビューでした。テーマはただ一つ。「この会社は、なぜ存在しているのか」。
代表が語ったのは、創業当時のエピソードでした。「自分たちのサービスで、お客様の『不安な月曜』を少しでも軽くしたい。そのための会社なんです」。
しかしこの想いは、現場にはほとんど届いていませんでした。そこでMEZAMEチームは、
- 代表の言葉を短いフレーズに分解
- 現場メンバーの日常業務に置き換えて再構成
- 「私たちのチームが目指す北極星」として見える化
といったプロセスを重ね、「月曜が少し楽しみになるサービスを届けよう」という共通の合言葉をつくりました。
ワークショップ当日:はじめて隣の席の人に本音を話した日
MEZAME本編は、全3回・各半日のプログラムとして設計。初回は管理職と若手をミックスしたメンバー構成で実施しました。
ステップ1:自分の「Will」を言葉にする
最初のワークは、「仕事を通じて、どんな人でありたいか?」を1枚のシートに書き出す時間。ある20代社員は、ペンが止まったままでした。
ファシリテーターが静かに問いかけます。「完璧な答えじゃなくて大丈夫。今、頭に浮かんでいる言葉からでいいですよ」。
しばらくして、その社員はこう書きました。「自分の家族に自慢してもらえる人でありたい」。周りのメンバーがうなずき、「いいね、それ」と声をかけた瞬間、表情がふっと緩んだのが印象的でした。
ステップ2:お互いの背景を知る対話
次に行ったのは「仕事人生年表」のシェア。入社前から今までのターニングポイントを描き、それを隣の人と語り合います。
普段は寡黙なバックオフィスのリーダーが、学生時代に挫折した経験と、今のチームへの想いを語ったとき、同席していた若手がこう漏らしました。「正直、怖い人だと思っていました。でも、今日初めて“好きで厳しくしている”って分かりました」。
休憩時間には、「こんな話、会社でできると思ってなかった」という声があちこちから聞こえてきました。
1年後のビフォー・アフター
MEZAME導入から1年。数字にも、空気にも変化が表れました。
- 若手の「1年以内に転職を検討」が、約半分まで低下
- 期をまたいだプロジェクトの「部門横断チーム」が3倍に増加
- 月曜9時の全社朝会での発言者数が、それまでの3〜4名から10名以上へ
なにより象徴的だったのは、あるメンバーのこんな言葉です。
「日曜の夜、『明日あの話の続きができるな』と思うようになりました。月曜が、少しだけ楽しみになりました」。
今日から試せる「ミニMEZAMEワーク」3選
最後に、この企業で実際に行ったワークを、日常でも使える形にアレンジしてご紹介します。
1.3分だけの「Will共有」チェックイン
- 週初めのミーティングで、一人30秒〜1分
- 「今週、大事にしたい一言」を紙に書いて共有
- 内容への評価はしない。「聞く」ことだけに集中する
2. 「ありがとう」だけを伝えるシャワータイム
- 月に1回、5分間だけ実施
- メンバー同士で「最近うれしかった行動」を1つだけ伝え合う
- フィードバックは事実+感謝のみ。「でも」は禁止
3. チーム版・北極星カード
- 「このチームが半年後、周りからどう言われていたらうれしいか?」を一人1枚に記入
- カードをテーブルに並べ、似ているものをグルーピング
- 最後に「チームの合言葉」を1フレーズにまとめて壁に貼る
大掛かりな制度変更がなくても、小さな対話の積み重ねで、月曜の空気は変えていけます。MEZAMEの現場で起きているのは、そんな「人が変わる瞬間」の連続です。