「一番」を経験して気づいた、働くことの力
渡邊真吾が人材業界に惹かれた背景には、仕事を通じて初めて「一番」を経験した原体験があります。学生時代まで特別に目立つ存在ではなかった中で、仕事で成果を出し、周囲から承認されたことが自己肯定感の回復につながりました。「働くことには、人を変える大きな力がある」という確信は、このとき生まれたものです。単にお金を稼ぐ手段ではなく、自分の可能性に気づき、人生そのものを豊かにしていくプロセスとしての「はたらく」。この価値観が、トゥモローリンクのすべてのサービスの前提になっています。
なぜ独立したのか──見えなかった「会社の志」への課題意識
人材業界でキャリアを重ねるなかで、多くの企業に共通する課題が見えてきました。それは「なぜこの会社が存在するのか」という志やビジョンが、現場の社員にほとんど伝わっていないことです。トップの思いが共有されないまま、目の前の売上や数字だけが求められると、人は次第に主体性を失い、エネルギーも下がっていきます。渡邊は、志と日々の仕事を結びつける仕組みをつくりたいと考え、2020年に大阪でトゥモローリンクを創業。「はたらくがもっともっと前向きに」というビジョンを掲げ、企業と個人の未来をつなぐ存在を目指し始めました。
ミッションに込めた想い:「採用が未来を切り開き、職場環境が成長を促す」
トゥモローリンクのミッションは、「採用が未来を切り開き、職場環境が個人の成長を促す」です。まず採用は、企業にとっても個人にとっても、未来の選択肢を大きく変える決定点です。どんな志を持つ人が集まるかで、会社の進む方向は変わります。同時に、入社後の職場環境が、個人の成長を支えるかどうかも決定的です。どれだけ優秀な人材でも、ビジョンが共有されず、対話がない場では力を発揮しづらくなります。採用と職場づくり、この二つをセットで変えていくことが、日本の「働く」の体験を前向きなものへ転換する鍵だと位置づけています。
未来プログラム「MEZAME」が生む、個人のWillと会社ビジョンの接点
そのミッションを具現化した象徴的なサービスが、参加型未来プログラム「MEZAME」です。MEZAMEでは、社員一人ひとりの「Will(何がしたいのか)」を対話を通じて引き出し、会社の歴史やビジョンとつなぎ直すプロセスを設計しています。特徴は、トップからの一方通行のメッセージではなく、社員自身が会社の未来像を言葉にしていく点です。「自分はこの組織の中で何者であり、何を担いたいのか」がクリアになることで、主体的な行動が生まれやすくなります。ロゴに込めた「3つの星」が象徴するように、一人ひとりの光を互いに照らし合う組織状態を目指しています。
プロジェクト事例に見る、「スローガンで終わらせない」取り組み
コンサルティングでは、採用支援だけでなく、採用後のオンボーディングやチームづくりまで一気通貫で関わるケースが増えています。例えば、採用段階から「どんな志を持つ人と働きたいか」を言語化し、その問いを面接や選考フローに組み込む。その後、入社後のMEZAMEや研修で、会社のビジョンと個人のWillを重ねる場を設ける。さらに、現場マネジャー向けのコーチングを通じて、日々の1on1や対話の質を高めていく。こうした一連のプロセスを通じて、ミッションが単なるスローガンではなく、日常の意思決定と行動に落ちるよう設計しています。
社内カルチャーで体現する、「はたらくがもっともっと前向きに」
トゥモローリンク自身の組織づくりも、クライアントへの提案内容と同じ哲学で運営されています。大切にしているのは、「明日早く会社に行きたい」と思える状態を自社の中からつくること。そのために、売上や数字の会話と同じくらい、「なぜこの事業をやるのか」「どんな社会をつくりたいのか」を日常的に対話します。一人で抱え込まず、仲間と協力して挑戦するワンチームの文化も重視しています。こうした内側の実験や学びをサービスに還元することで、「前向きにはたらく」体験を広げていこうとしています。
自分の仕事観と照らして考えるための問い
最後に、渡邊の創業ストーリーやミッションと、自分自身の仕事観を重ね合わせるための問いをいくつか紹介します。
- これまでの仕事で、「一番うれしかった承認体験」は何だったか。
- 今いる(もしくはこれから選ぶ)職場は、自分のWillを語れる場になっているか。
- その会社の「なぜ存在するのか」に、自分はどれだけ共感できているか。
- 月曜日の朝、自分はどんな気持ちで仕事に向かいたいか。
こうした問いに向き合うこと自体が、「はたらく」を前向きにする第一歩になります。トゥモローリンクの物語が、自分のキャリアや働き方を見直す小さなきっかけになれば幸いです。