ノルマと数字だけの世界で味わった「虚しさ」
新卒で飛び込んだのは、いわゆる成果主義ど真ん中の営業の世界でした。毎朝共有されるのは売上グラフとランキング。会議室の空気はいつもぴりついていて、「昨日より数字は伸びたか」「今月の着地は?」ばかりが話題になる。達成できれば称賛され、未達なら人格ごと否定されたような気持ちになる。気づけば「どうすれば売れるか」しか考えなくなり、「誰の役に立っているのか」「自分は何者になりたいのか」という問いを封印していました。
はじめて「一番」になった日と、自己承認の感覚
そんな中、全社MVPをとったタイミングがありました。大きな案件が決まり、表彰台に立ち、名前を呼ばれて拍手を浴びる。その瞬間、自分の中で何かがカチッとはまった感覚がありました。「自分でも結果を出せる」「誰かにちゃんと認めてもらえるんだ」という実感です。一方で、喜びは案外一瞬で終わることも痛感しました。トロフィーを持ち帰っても、翌朝からはまたノルマとの勝負が始まる。承認の快感と、その後にくる空虚さ。ここから「成果と承認の関係」を強く意識するようになりました。
部下育成で味わった挫折と、“数字だけマネジメント”の限界
管理職になり、メンバーを持ったとき最初にやったのは、自分がやってきたことのコピーでした。「このトークで」「この件数を」「この時間までに」。数字を積み上げるロジックは正しいはずなのに、チームはバラバラになり、離職も出る。あるメンバーから「自分が何のためにここにいるのか分からない」と言われた一言は今でも忘れられません。目の前の数字は一時的に伸びるけれど、続かない。そこで初めて、「成果の前に、その人自身の物語や意思に向き合わないとダメだ」と痛感しました。
「採用が未来を切り開き、職場環境が個人の成長を促す」に行き着くまで
多くの企業を支援する中で分かったのは、問題の出発点の多くが「なぜこの会社で働くのか」が共有されていないことでした。採用は「空いた席を埋める作業」になり、入社後の職場は「ただ成果を求める場」になりがちです。けれど本来、採用は企業の未来像と個人の人生を結ぶスタートラインであり、職場は人が成長し、自己承認を回復していく装置であるはず。そこから、「採用が未来を切り開き、職場環境が個人の成長を促す」というミッションに自然とたどり着きました。
「働く=自己承認の回復装置」としてのキャリアの振り返り方
自分のキャリアも、今振り返れば「自己承認をどう得てきたか」の物語でした。これは誰にとっても同じです。次の3つの問いで、一度整理してみてください。
・これまでで一番うれしかった仕事の場面は?
・そのとき、誰にどんな言葉をかけられたか?
・逆に一番しんどかった場面は?何が満たされていなかったか?
ここから見えてくるのは、あなたがどんなときに自己肯定感を得て、どんな環境ではすり減ってしまうのかというパターンです。転職や次の一歩を考えるとき、スキル以上にこの「承認のパターン」を押さえておくことが大切だと思います。
転職先の「志の本気度」を見抜く3つの質問
企業のミッションにどこまで本気かは、面接での質問である程度見抜けます。例えば、
1. 「この会社を立ち上げた理由、続けている理由を教えてください」
2. 「ミッションやビジョンが、最近の具体的な意思決定にどう反映されましたか?」
3. 「現場のメンバーが、そのミッションを自分ごととして語れる場はありますか?」
これらに、迷いながらでも自分の言葉で答えてくれるかどうかがポイントです。きれいなスローガンではなく、「しんどい局面でも、この志だけは手放さない」という温度感がある会社かどうか。そこに、働くを前向きに変えていく本気度が表れます。
「はたらくがもっともっと前向きに」に込めた、これからの挑戦
トゥモローリンクという社名には、組織の未来と、そこで働く一人ひとりの未来をつなぎたいという思いを込めています。「はたらくがもっともっと前向きに」というビジョンは、決してきれいごとではありません。ノルマに追われて心がすり減る現場も、成果だけで人が評価される苦しさも、身をもって知っているからこそ、具体的なサービスや対話の場づくりに落とし込んでいく必要があると考えています。月曜日に「また一週間がんばろう」と思える人を一人でも増やす。そのために、これからも採用と職場づくりの両輪で、現場に向き合い続けていきます。