「現場の声」が起点になる商品開発のスタイル
常磐精工の商品開発は、トップダウンよりも「現場の違和感」から始まるケースが多くあります。ショールームでお客様に説明する営業、量産と向き合う製造、設計図を引く開発、それぞれが「もっとこうできるのでは?」と気づいた点を持ち寄り、試作に進めていくスタイルです。
年間3万台を超える製造実績と1台からのオーダーメイド対応があるからこそ、小さな改善提案でも実際の製品に落とし込みやすい環境が整っています。若手でも「気づき」を言葉にできれば、企画のスタート地点に立てるのが特徴です。
ポスタースタンド改良に挑んだ入社3年目のチャレンジ
例えば、入社3年目の若手社員が主導したポスタースタンドの改良では、「入れ替えがしづらい」「サイズ展開がわかりにくい」というお客様の声が原点でした。ショールームでのヒアリングメモをもとに、開閉構造の見直しやフレーム形状の変更を提案。NC切断機やパネルソーを活用し、自ら試作品づくりにも関わりました。
強度テストで不具合が見つかるなどの試行錯誤を経て、最終的には「交換作業が短時間で済む」モデルとしてラインアップ入り。失敗も含め、開発プロセス全体を体験したことが大きな成長につながっています。
コロナ禍で生まれた飛沫防止パーテーションと消毒液スタンド
2020年前後のコロナ禍では、飛沫防止パーテーションや消毒液スタンドの緊急開発が進みました。短納期と安全性を両立させるため、自社開発のアルミフレーム技術をベースに、設計・材料加工・組立までを一気通貫で対応。
入社1〜2年目の若手も、図面のブラッシュアップや組立手順の標準化に深く関与しました。「転倒しにくいベースの形」や「ボトルのサイズが変わっても使えるホルダー幅」など、使い手目線の工夫は、店舗や医療現場からのフィードバックをこまめに反映した結果です。
スタートアップとの協業で広がるアルミフレームの可能性
最近では、外部のスタートアップと連携した試作・商品開発も増えています。自立型看板で磨いてきたアルミフレームのノウハウを応用し、展示什器や簡易ブースなど、新領域のプロジェクトが進行中です。
プロダクトのコンセプト段階から参加する若手もおり、3Dデータ作成やモックアップ検証、コスト試算などを担当。量産前に仕様を固める重要な局面で、「メーカー目線でどこまで実現できるか」を伝える役割を担うことで、ビジネス全体を見渡す視点が養われています。
「職人依存から誰でも扱える機械へ」が生むチャンス
常磐精工は、新しい設備導入により「熟練の勘に頼る加工」から「誰でも扱える機械」を中心としたものづくりへシフトしています。NCボール盤やオリジナル看板枠組専用機などにより、図面どおりに高精度で加工できる環境が整いつつあります。
これにより、未経験からでも試作や改良案を検証しやすくなりました。機械の扱い方さえ学べば、アイデアを形にする初期段階までを自分で進めることができ、若手が「作り手」として前に出る機会が着実に増えています。
アイデアを形にするための社内提案のコツ
入社後、自分のアイデアを製品につなげるには、「提案の見せ方」が重要です。例えば、
・気づいた課題を写真やメモで記録し、具体的なシーンと一緒に説明する
・既存製品との違い(メリット・デメリット)を簡単な表にまとめる
・手描きスケッチや簡易3Dで「イメージ」を共有する
といった工夫があると、上司や設計担当が議論しやすくなります。
また、ショールームや工場見学の場で得た気づきを、その日のうちにメモしておくことも、提案の精度を高めるポイントです。
ポートフォリオで伝えるべき「ものづくりへの視点」
ものづくりに関わりたい人にとって、ポートフォリオは「何ができるか」だけでなく「どう考えるか」を伝える道具です。学生時代の作品や個人制作は、完成品の写真だけでなく、
・課題設定とターゲットの整理
・複数案から最終案を選んだ理由
・試作や失敗から学んだこと
を添えておくと、常磐精工が大切にする「作り手として答えを出すプロセス」との親和性が伝わりやすくなります。小さな改善でも構わないので、「便利で安全な社会」にどうつながるかを意識してまとめると、説得力が一段と高まります。