コロナ禍で何が起きたのか――看板業界の急ブレーキと急カーブ
コロナ禍では、人の流れが一気に止まり、店舗集客を支えてきた看板・ディスプレイ需要は大きな打撃を受けました。一方で、「飛沫防止パーテーション」「消毒液スタンド」といった安全衛生用品が急速に求められ、街中のあらゆる場所に設置されていきました。
従来は「売る・集客する」ための道具だった看板が、「守る・安心してもらう」ためのツールへと役割を広げたのが、この時期の特徴です。この変化にどう対応できたかが、各社の明暗を分けるターニングポイントになりました。
アフターコロナの今、看板・ディスプレイはどこへ向かっているか
行動制限が落ち着いた今、リアル店舗やイベントは戻りつつありますが、以前と同じやり方では選ばれません。「安全・安心」と「訴求力」の両立が、看板・ディスプレイに求められる標準仕様になりつつあります。
例えば、消毒液スタンドを情報発信用のミニサインとして使う、誘導用ポールサインに注意喚起を組み合わせるなど、「機能を掛け合わせた看板」が増えています。単なる表示物ではなく、空間の設計や体験づくりの一部として考える視点が、業界全体で重要になっています。
どんな会社が伸びている?ニッチトップと一貫生産という戦い方
近年伸びているのは、「何でも屋」ではなく、自社の得意領域をはっきりさせたメーカーです。常磐精工が掲げるのは、自立型看板というニッチでトップを目指す戦略。A型看板、ポールスタンドなどに特化し、アルミ製の高品質・高耐久な製品を作り続けています。
特徴的なのが、一貫生産と柔軟性です。自社工場で設計から出荷まで行い、年間3万台超を製造しながら「1台からのオーダーメイド」にも対応。安価な海外製との差を、「品質」と「サービス」で埋めるのではなく、むしろ上回る価値として提示している点が、成長企業に共通する姿勢です。
常磐精工の事例に見る「変化に強いメーカー」の条件
常磐精工は、コロナ禍に安全衛生用品の製造・販売をいち早く拡大しました。飛沫防止パーテーションや消毒液スタンド、緊急用担架などは、もともとのアルミフレーム技術を応用したプロダクトです。
加えて、新しい設備を導入し、「職人の勘」だけに頼らない生産体制へシフトしたことで、若い世代でも扱いやすい製造現場を整備。スタートアップからの試作依頼にも応えられる柔軟さを持ち、ショールームや工場見学を通じて製造プロセスをオープンに見せるなど、技術力と透明性を同時に高めています。
業界研究で押さえたい「成長性のある企業」の見極めポイント
就活・転職でこの業界を見るなら、次の観点をチェックしてみてください。
・自社開発比率:OEM中心か、自社ブランド製品を持っているか
・技術アップデートの姿勢:設備投資や新素材・新機構への取り組みがあるか
・一貫生産かどうか:設計~出荷までどこまで社内で完結しているか
・ニッチトップ志向:得意分野やコア技術が明確か
・地域・社会との関わり:工場公開、ワークショップ、地域イベントなどへの参加状況
これらは、短期の売上だけでなく、変化に強い企業かどうかを見極める指標になります。
面接・説明会でそのまま使える質問例
成長性を確かめるには、企業説明や面接での質問が有効です。例えば次のような聞き方ができます。
・「近年、自社オリジナル製品で伸びている分野はどこですか?」
・「ここ数年で導入された新しい設備や技術には、どんな狙いがありますか?」
・「スタートアップや他業種との共同開発事例があれば教えてください」
・「地域や子ども向けのものづくり体験など、社会との関わりで意識していることはありますか?」
具体例を引き出すことで、その会社がどこへ向かおうとしているのかが、数字以上にリアルに見えてきます。