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「全社員が品質向上の研究員」昭和製線の現場力と人材育成を知れば、ものづくりの仕事がもっと魅力的になる

3S活動 , 人材育成 , 原因分析 , 品質管理 , 現場改善

2026.03.10

経営危機を救ったのは、現場の「原因追究力」だった

大阪府富田林市に本社を置く昭和製線株式会社は、基板用ジャンパー線や鉛フリーはんだメッキ銅線など、電子部品・電線用導体の専門メーカーです。かつては出荷量の減少、利益の悪化に加え、品質クレームが増加し、経営面でも「船が沈みかけていた」時期がありました。

打ち手として同社がまず徹底したのは、「なぜ不良が起きるのか」をとことん掘ることです。例えば、銅線表面へのスズやはんだのコーティング前に行う洗浄工程。ここでわずかな汚れが残ると、メッキの乗りムラやピンホール不良の原因になります。そこで、洗浄液の濃度管理、ノズルの角度や圧力、乾燥条件、ロットごとの記録方法まで分解し、原因調査に時間を惜しまなかったといいます。

「原因が分かれば対策はその裏返しにすぎない」という考え方のもと、表面処理条件の標準化や点検頻度の見直しを進めた結果、クレームは着実に減少。経営再建の起点は、派手な投資ではなく、ミクロな工程にまで踏み込んだ現場の原因追究力でした。

3S・改善活動を「全員参加の研究活動」にする仕組み

昭和製線には創業以来、「全社員が品質向上についての研究員である」という精神があります。これを現場で具体化しているのが、3S(整理・整頓・清掃)と日々の改善活動です。

単なる片付けではなく、「なぜここに置くと取り違えが起きるのか」「この帳票は誰の判断に使われるのか」といった「なぜ」を問い直すことで、ムダとミスの原因を探ります。改善案は職種や年齢を問わず誰でも出せる仕組みとし、小さな提案でも評価・共有。外国人実習生も含めて、全員が「現場の研究員」として関わる文化を育ててきました。

こうした積み重ねが、東南アジア向け輸出の拡大など、新たなチャンスをつかんだ際の品質基盤にもなっています。

「人間力」とは、相手の立場で考え抜く力

同社が人材育成で重視するキーワードが「人間力」です。昭和製線ではこれを「相手を思いやる言動を通じて、周囲に好影響を与える力」と定義しています。

例えば、検査工程で異常値に気づいたとき、「とりあえず上司に報告する」で終わらせるのか、それとも「このまま出荷されると、お客さまのラインが止まるかもしれない」と想像し、ロットの囲い込みや類似事例の確認まで自ら提案するのか。この違いが評価の分かれ目です。

現場では、「お客さまの目線に立つとどう見えるか」「一緒に働く仲間にとってやりやすい状態か」を自分ごととして考える姿勢が重視されます。社内では前向きな声かけと情報共有を通じて、こうした思考を習慣化できる環境づくりに力を入れています。

「言われたことをこなす人」から「自分で考えて動く人」へ

昭和製線が求めるのは、指示待ちではなく、自ら考え行動できる人材です。そのために、現場ではあえて「どう思う?」「なぜそうした?」と問い返し、答えを一緒に言語化する場を増やしています。

品質トラブルの振り返りでも、「誰が悪いか」ではなく「どの判断プロセスが不足していたか」に焦点を当てます。これにより、現場の一人ひとりが原因分析と対策立案の当事者となり、再発防止のアイデアが現場から自然と出てくるようになります。

未経験でも今日からできる、昭和製線流の「成長トレーニング」

ものづくり未経験の人でも、昭和製線の現場で求められる力は、入社前から鍛えることができます。代表的なトレーニングをいくつか紹介します。

報連相の「質」を上げるメモ習慣

報告・連絡・相談をするときに、「事実(いつ・どこで・何が)」「考えられる原因」「自分なりの対策案」をセットでメモにまとめる癖をつけてみてください。内容は仮説で構いませんが、「原因と対策を自分なりに考える」プロセスに慣れておくことが、現場での原因追究力につながります。

「相手目線で一言足す」コミュニケーション

日常のメールやチャットで、「結論」だけでなく、「相手が次に動きやすくなる情報や一言」を添えることを意識してみてください。相手の立場で必要な情報を想像する訓練が、人間力の基礎になります。

小さな3S改善を自宅や職場で実践する

机の上やパソコン内のフォルダなど、身近な場所で「取り出す時間を10秒短縮するには?」と考え、配置やルールを変えてみることも有効です。整理・整頓・清掃を「目的から逆算して設計する」感覚を養うことで、工場の3S活動にもスムーズに馴染めます。

ものづくりの現場は、考える人ほど面白くなる

昭和製線の歩みは、たとえ経営が厳しい局面でも、原因追究と現場改善、人間力の向上をあきらめなければ、ものづくりの現場は必ず強くなることを示しています。ミクロな品質改善と、人を育てる仕組み。その両輪があるからこそ、新たな海外市場の開拓や太陽光パネルのアップサイクルといった挑戦にも踏み出すことができました。

「言われたことをこなす仕事」から一歩踏み出し、「なぜそうするのか」「相手にとって最善は何か」を考え続けるとき、ものづくりの仕事はぐっと奥深く、魅力的なキャリアの選択肢になります。昭和製線の現場力と人材育成の姿勢は、そのことを静かに物語っています。