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【創業100年超】昭和製線が選ばれる理由|小さな会社が世界のものづくりを支えるまでのリアルストーリー

スズメッキ銅線 , 再生可能エネルギー活用 , 品質管理と原因究明 , 東南アジア輸出 , 町工場の経営再建

2026.03.03

「家業は伸びない」と思っていた4代目が見た現実

大阪府富田林市で銅線加工を手がける昭和製線株式会社。従業員20名ほどの町工場だが、前身の平野電線製造所時代から数えて創業100年超の歴史を持つ。現在、舵を取るのは4代目社長・廣瀬康輔氏だ。

もともと廣瀬氏は、「これから電線事業が大きく伸びるとは思えない」と感じ、家業に戻るつもりはなかった。ところが社会人として働く中で、「自分が育ってこられたのはこの会社のおかげだ」と実感。ちょうど工場長が退職する節目に父から「やる気があるなら今がいいタイミングかもしれない」と声をかけられ、社員とその家族の生活を背負う覚悟を決めて戻ることになる。

沈みかけた船と、徹底した原因追究

2004年の入社当時、会社は決して順調ではなかった。出荷量、売上、利益はいずれも右肩下がり。お客様の要求品質は年々高まる一方、設備は老朽化し、クレーム対応が日常的に発生していた。

社長が後に「船にたとえれば、沈みかけていた」と振り返るほどの状況で、まず着手したのが品質問題の「原因」に向き合うことだった。例えば銅線表面へのメッキ不良。表面洗浄のわずかな甘さや、油分・汚れの残りが不具合の引き金となる。そこで工程ごとに条件を洗い出し、「なぜ汚れが残るのか」「なぜ安定しないのか」を徹底的に分解。再発防止策よりも先に、真因の特定に時間を投じた。

同時に、「全社員が品質向上についての研究員である」という創業時からの精神を共有し、現場の意識改革を推進。結果としてクレームは大幅に減少し、信頼回復への道筋が見え始める。

東京の展示会から始まった、東南アジアとの出会い

品質改善が進んだとはいえ、国内需要や価格競争の厳しさは変わらない。経営の立て直しが急務だった2014年、廣瀬氏は東京ビッグサイトの展示会に出展する。特別な製品を売るわけではなく、自社で加工した銅線を並べ、「昭和製線はこういうことができます」と紹介するだけのブースだった。

そこで意外な反応を示したのが、台湾・香港・東南アジアの来場者たちだ。「この銅線は自国で買えるのか」「日本製が欲しい。自国の製品は信用できない」と、品質への強い信頼を口にしたのである。廣瀬氏は、まずはネット販売から小さくスタート。実際に見積もりを出してみると、現地で流通している同等品よりも高品質でありながら、価格も十分競争力があることが分かった。

こうして2014年から東南アジア向けの輸出を本格化。以降10年間、エアコンや家電向けの電線用導体など、同社のスズメッキ銅線・鉛フリーハンダメッキ銅線は安定して採用され続けている。

昭和製線の製品は、世界のどこで使われているのか

昭和製線が手がけるのは、基板用ジャンパー線や電子部品用リード線、電線用導体など、一見すると地味な「銅線」だ。しかし、これらは東南アジア各国の工場で組み立てられる家電・電子機器の内部に組み込まれ、最終的には世界中の家庭やオフィスで使われている。

例えば:

  • エアコン用の制御基板に実装されるジャンパー線
  • 電源コード内部の導体として使われるスズメッキ銅線
  • 電子部品のリード線として使われる鉛フリーハンダメッキ銅線

製品そのものに「昭和製線」の名前が刻まれることはないが、世界のものづくりの下支えとして欠かせない存在になっている。

太陽光パネルのアップサイクルという新たな挑戦

本業を磨きつつ、同社は再生可能エネルギー分野にも挑戦している。大量廃棄が懸念される太陽光パネルを、発電機能を持つホワイトボードやテーブル、卓球台へとアップサイクルするプロジェクトだ。

その象徴が、大阪・関西万博に設置された「そらいす」。アップサイクルパネルを屋根に使ったベンチで、日陰と充電スポットを提供しながらCO2削減にも貢献している。半年間の万博期間を「実証フィールド」と位置付け、利用状況や耐久性、メンテナンス性を検証し、将来の事業化を見据えている。

ものづくりの現場でキャリアを築く人への視点

ものづくり企業を選ぶうえで、廣瀬氏の取り組みから学べる視点は多い。例えば次のような点だ。

  • 品質トラブルの「原因」をどこまで深く追究しているか
  • お客様の変化(要求品質や市場)にどう向き合ってきたか
  • 小さな会社ならではの「とりあえずやってみる」挑戦が許されているか
  • 人間力や「自分ごととして考える姿勢」をどれだけ大切にしているか

昭和製線では、「相手を思いやる言動を通じて周囲に好影響を与える力」を人間力と定義し、日々の声かけや情報共有を通じて、社員が前向きに考えられる環境づくりを重視している。

昭和製線を志望する人がアピールしたいポイント

同社の選考で特に伝わるのは、「技術」より前に「姿勢」だろう。例えば以下のような観点を、これまでの経験と結びつけて言語化できるとよい。

  • 目の前の作業を「お客様視点」で改善しようとした経験
  • トラブルの原因を自分なりに仮説立てして深掘りした経験
  • 小さなアイデアでも「とりあえずやってみた」行動のエピソード
  • 周囲の人が働きやすくなるよう、声かけや工夫をした経験

銅線や電子部品の知識がなくても構わない。重要なのは、ものづくりの現場でお客様と仲間のことを考え、自分の頭で考え続ける姿勢である。

創業から100年を超えても、「ゴールはない」と語る4代目。沈みかけた船を立て直し、世界のものづくりを支える小さな会社は、これからも変化と挑戦を続けていく。