週末の趣味が評価された転職のきっかけ
前職で物流倉庫に勤めていたAさんは、25歳のときにレザーアートへ転職しました。志望理由は「好きな細かい作業を、仕事として極めたい」と思ったから。面接で話したのは、学生時代から続けているプラモデルづくりと、社会人になって始めた靴磨きのことでした。
採用担当が注目したのは「同じ作業を丁寧に繰り返せること」「完成したときの達成感を人一倍大切にしていること」。専門学校や職歴以上に、その“好きで続けてきた時間”が、職人の素質として高く評価されました。
未経験1〜3年で身についた技術と担当工程
入社1年目のAさんは、まずは色止めや簡単なクリーニングなど、仕上げ工程の一部を担当。2年目には、コバの塗り直しや小さなキズの補修を任され、3年目でようやく糸を抜き、縫い直すミシン作業にステップアップしました。
どの工程も「どこを直したかわからない自然な仕上がり」が基準。わずかな色ムラや段差も許されないため、先輩のチェックを受けながら、少しずつ難易度の高い作業へ進んでいきます。時間はかかりますが、そのぶん技術が確実に積みあがる環境です。
リペア職人の1日の流れ
Aさん(入社3年目・大阪工場)の1日は、次のような流れです。
・午前:その日に担当するバッグや靴の「状態確認」と、作業手順の確認
・午前〜午後:補色、コバ塗り、部分的な縫い直しなど、決められた工程を集中して実施
・夕方:仕上がりのセルフチェックと、品質管理スタッフによる最終確認
1点ごとに状態も依頼内容も違うため、実質「毎日が初めての仕事」。それでも、納期を守ることは絶対条件です。スピードと正確さを両立させることが、Aさんの大きな成長テーマになっています。
前職経験はこう活きる──製造・物流・営業の強み
Aさんのような製造・物流経験者だけでなく、営業出身の先輩も多く活躍しています。共通して評価されるポイントは、次のようなものです。
・製造・物流:同じ作業を正確に繰り返す集中力、数や順番を間違えない管理意識
・営業:納期や約束を守る責任感、相手の立場で物事を考える視点
レザーアートでは「エンドユーザーの喜ぶ姿」を想像することを重視します。モノづくりの現場で培った几帳面さや、取引先と向き合ってきた責任感は、そのまま職人としての信頼につながっていきます。
自宅でできる適性セルフチェック5項目
応募前に、自分に向いているかを確かめる簡単なチェックです。
1. プラモデルやパズル、DIYなど、細かい作業をしていると時間を忘れる
2. 靴やバッグを「まだ使えるのに捨てるのは惜しい」と感じてしまう
3.机の上をきちんと片づけてから作業を始めたいタイプだ
4. 同じ作業でも、昨日よりきれいにできる方法をつい試してしまう
5. 約束の時間や期限を守れなかったとき、強いモヤモヤを感じる
3つ以上当てはまるなら、リペア職人としての素質がある可能性は高いと言えます。
未経験でも選考でアピールできるポイント
技術よりも「考え方」や「習慣」が重視されるため、選考では次のような点を具体的なエピソードで伝えると効果的です。
・観察力:プラモデルや時計分解などで「細部まで見て工夫した」経験
・“もったいない”感覚:同じ靴を長く履くために自分なりに手入れしてきた話
・納期への責任感:前職での納期管理、残業してでも約束を守った体験
「うまく話す」必要はありません。日常の中で大切にしてきた行動を、ありのまま具体的に伝えることが、職人への第一歩になります。