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100人の職人が語る「レザーアートで働くリアル1日」──チームでブランドを守る仕事の舞台裏

チームワーク , ハイブランドバッグ , 品質管理 , 工房の一日 , 革製品修理

2026.06.15

8:30〜 朝礼と「今日の一手」を決める時間

大阪本社工房の1日は、職人・営業・品質管理スタッフがそろう朝礼から始まります。担当者ごとに当日の案件数と納期を共有し、「どの順番で」「どのラインで」進めるかをすり合わせます。
未経験で中途入社したAさんは、まず先輩と一緒に自分の担当バッグを確認。破損箇所だけでなく、「いつまでに、どの店舗に戻るのか」といった情報もチェックします。ここで決まるのは単なる作業予定ではなく、「オーナーに最適な状態で返すための一手」。1日の質を左右する、密度の高い打ち合わせです。

9:00〜10:30 入荷チェックと修理方針のすり合わせ

朝礼後は、全国から届いたブランドバッグや革小物の状態確認に入ります。擦れや破れ、持ち手の緩み、金具の劣化などを1点ずつ確認し、営業が聞き取った要望と照合。
Aさんは先輩職人と一緒に、「どこをどこまで直すか」「新品らしさより“使い続けた自然さ”をどう残すか」を議論します。同じ素材でもブランドによって構造が異なるため、分解前の判断が肝心です。この段階で、ミシンチーム・補色チームなど各専門チームへの振り分けも行われ、工房全体での段取りが固まっていきます。

10:30〜15:00 集中作業と静かなチームプレー

工房が最も静かになるのが、午前後半から午後にかけての集中作業の時間です。Aさんは、先輩に教わった手順書メモを横に置きながら、
・革の状態に合わせた下処理
・芯材の補強や縫製のやり直し
・色やツヤを整える仕上げ作業
を進めていきます。
「一人で黙々」に見えますが、実際はミシン担当へのバトンタッチや、難しい色合わせでの相談など、細かな連携の連続です。途中で営業が「このお客様はここを特に気にされています」と情報を追加することもあり、手元だけでなくチーム全体を意識しながら手を動かします。

15:00〜17:00 品質チェックと「どこを直したかわからない」仕上げ

作業が一段落すると、品質管理担当とのダブルチェックに入ります。糸の始末、コバのライン、金具の向きや光り方、バッグ内部のホコリや糸くずまで、チェックリストに沿って厳しく確認。
Aさんは、自分では気づかなかった色ムラを指摘されることもありますが、そのたびに原因と対処法を先輩と共有します。目指すのは「修理したことが分からない自然さ」。ブランドの品格を保ちながら、オーナーの思い出や使い勝手を損なわないことが、レザーアート品質の軸になっています。

17:00〜18:00 納期管理と1日の振り返り

夕方になると、営業と職人が再び集まり、納期と進捗をすり合わせます。「今日出荷できるもの」「明日の午前中に仕上げるもの」を明確にし、全国の百貨店やブティックに間違いなく届けるための最終確認を行います。
Aさんはその日の作業内容を簡単に記録し、苦戦した点やうまくいった工夫をメモ。翌日以降、同じブランドや似た症状の修理に活かされます。「約束を守る」ための納期意識と、「毎日がはじめての仕事」という緊張感が、静かに現場に流れています。

職人が感じるプレッシャーと、それを超えた達成感

革製品リペアの仕事は、失敗が許されない場面の連続です。世界的ブランドのバッグを分解する瞬間、貴重な思い出が詰まったアイテムにハサミを入れる瞬間、Aさんは今でも少し手が震えると言います。
一方で、百貨店経由で届く「きれいになって戻ってきました」「また使えます」という声は、何物にも代えがたい励みです。評価されるポイントは、「正確さ」と「速さ」の両立、そしてチームの一員としての連携力。自分の手仕事が、ブランドの信頼とオーナーの笑顔を同時に支えている――その実感が、明日も工房に向かう原動力になっています。