採用メディア発信サイト

人のこと

【1日の仕事密着】30代未経験職人が語る、レザーアートで見つけた「誇れる働き方」

品質管理体制 , 工房での働き方 , 未経験からの転職 , 職人の一日 , 革製品修理

2026.06.11

午前8:30出社。100人の職人が動き出す朝

大阪・八尾の工房に到着すると、すでにミシンの音と、革のにおいが静かに立ちのぼっています。30代で異業種から転職したKさんは、まず当日の担当案件を確認。受付・営業がまとめた指示書と、修理品1点ごとのカルテを見ながら、優先度と納期を頭に入れます。
「ここは約束を絶対に守る会社。だから朝イチで“今日、何をいつまでに仕上げるか”をはっきりさせるんです」とKさん。熟練職人も若手も、まずは納期と品質基準を共有するところから1日が始まります。

午前9:00作業準備と品質管理担当とのすり合わせ

修理に入る前に、Kさんは品質管理スタッフと10分ほど打ち合わせを行います。色補正が必要なバッグなら、「どこまでトーンを合わせるか」「元の質感をどう残すか」をすり合わせ。縫製や金具交換の場合は、負荷がかかる部分の補強方法も一緒に検討します。
「どこを直したかわからない仕上がり」が求められるため、チェックリストは細かく、色ムラや糸の処理、残留物の有無まで事前に確認します。この段階でゴールイメージを合わせておくことで、後半の手直しを極力減らし、納期を守る体制が整います。

午前10:00〜午後3:00失敗が許されない現場とOJT

午前は、比較的難度の低いパーツ交換や縫製補修を中心に担当。隣のベテラン職人が、要所で手を止めて工程を確認し、クセのある素材は実演しながら指導します。
「毎日が初めての仕事」という言葉どおり、同じブランドでも構造や劣化の仕方はさまざま。Kさん自身が手を動かし、先輩が“ここから先は任せる/ここは一緒にやろう”と線引きするスタイルで、1つずつできる作業を増やしていきます。プレッシャーは大きいものの、失敗できない緊張感が集中力を研ぎ澄ませてくれます。

午後3:00〜5:00納期との戦いと、チームでの最終チェック

午後は、その日の出荷分の仕上げが中心です。色止めやコバ処理、コーティングなど、仕上がりを左右する工程では、時間との勝負になりがち。それでも妥協はありません。
完成後は、品質管理担当・別の職人・営業の3者でダブル、トリプルチェック。

  • 色・ツヤが全体と自然になじんでいるか
  • 縫製や金具に負荷がかかったときの強度
  • 糸くずやほこり、革くずの残りがないか

「ここ直した?」とわからない仕上がりになった瞬間、疲れより達成感が勝る、とKさんは語ります。

未経験から1年目までの成長ステップ

Kさんは、前職は飲食業のホール担当。革の知識はゼロでした。入社後3か月は、道具の使い方や素材名を覚えつつ、検品・簡単なクリーニング・マスキングなどの補助作業からスタート。6か月目には、小物の縫製補修や部分的な色補正を、一部案件で最初から最後まで任されるように。
1年目の終わりには、中価格帯バッグの持ち手交換やファスナー交換を一人で担当し、高難度案件は先輩とペアで対応できるレベルに到達。「手を動かす真面目さと、失敗から学び続ける粘り強さ」が評価される環境です。

家族に見せられる仕事。ファミリーデーで感じた誇り

Kさんが転機だったと語るのが、社内イベントのファミリーデー。家族を工房に招き、実際の作業工程を見てもらう日です。
「子どもが、自分が修理したバッグを見て“パパが直したの?”と目を輝かせてくれて」。その瞬間、毎日の細かい作業やプレッシャーも、「価値あるものを未来につなぐ」大事な仕事だと実感したと言います。他社が作った製品に敬意を払い、そのバトンを次世代に渡す――そんな会社の文化を、家族にも共有できる時間になっています。

転職希望者へのヒント:経験の伝え方と職場見学の3ポイント

類似業界の経験がなくても、以下のようなエピソードは評価されやすくなります。

  • 細かい作業を長時間、正確に続けた経験(製造、事務、調理など)
  • 納期や約束を厳守した実績(クレームを防いだ工夫など)
  • お客様の大切なものを預かる仕事での責任感

職場見学では、

  • 職人同士が質問しやすい雰囲気か
  • 品質管理のチェックプロセスが見えるか
  • 道具や工房が整理整頓されているか

の3点を確認すると、その職場で長く成長していけるかイメージしやすくなります。