8:30〜9:30出社〜朝礼。「今日直すバッグ」と向き合う時間
工房に入ると、ずらりと並んだバッグやシューズがまず目に入ります。1年目社員は、まずは掃除と道具の準備からスタート。ミシン周りや作業台を整えながら、その日の担当アイテムを確認します。
9:00からは朝礼で、前日からの持ち越し案件や納期の共有。先輩から「ここは色合わせが難しいよ」「この素材は水分に弱いよ」といったポイントも聞きます。1日のゴールをはっきりさせてから、それぞれの持ち場へ散っていきます。
9:30〜11:30色作り・基礎作業にじっくり集中する午前
午前中は、比較的「自分の手を鍛える時間」が多め。1年目は、まずサンプル革を使っての色作り練習から始まります。
数色の顔料を混ぜて、「ほぼ同じ」に見えるまで微調整。先輩に見せると「あとほんの少し赤みを足そうか」と具体的なフィードバックが返ってきます。また、簡単なクリーニングやコバ(フチ)の磨きなど、仕上げの基礎作業も担当。黙々とした作業ですが、「昨日よりきれいに」を目標に、時間を忘れて没頭する人が多い時間帯です。
11:30〜13:00先輩の横でOJT。「一つの工程だけ」を確実に覚える
昼前後は、先輩職人の横について、実際の修理工程を一緒に進めるOJTの時間です。たとえば、先輩がバッグ全体を分解・縫製していく横で、1年目は「色をつくる」「細かな部分のマスキングをする」など、一部の工程を担当します。
・なぜそのやり方なのか
・失敗しやすいポイントはどこか
といった解説をリアルタイムで聞きながら手を動かすので、メモ帳は常に手元に。少しずつ、「見ているだけ」から「自分の手を動かす」割合が増えていきます。
13:00〜15:30午後は実案件に挑戦。先輩チェック付きで少しずつ前線へ
午後は、お客様から預かった実際のバッグやシューズを担当する時間。とはいえ、いきなりすべてを任されるわけではなく、「このポーチの色補修だけ」「この持ち手のコバ仕上げだけ」といったように、難易度を調整しながら任されます。
一工程ごとに先輩チェックが入り、「ここ、あと1ミリ攻めてみようか」「このツヤ感はもう一度調整しよう」と細かい指導が続きます。緊張感はありますが、「さっき教わったことがそのまま使えた」と実感できる、成長を感じやすい時間帯です。
15:30〜17:30仕上げ・最終チェックから学ぶ「レザーアート品質」
夕方は、仕上げと品質管理の時間。先輩が完成品をチェックする横で、1年目も一緒に確認します。
・色ムラはないか
・縫い目は揃っているか
・糸くずや粉、ハギレが残っていないか
といった細かな項目を、一点ずつクリアしていきます。「どこを直したか分からない」レベルまで仕上げるために、最後の1手間を惜しまない姿勢を、現場で肌で覚えるフェーズです。ここで見る“プロの基準”が、そのままあなたの物差しになっていきます。
17:30〜18:30終礼〜振り返り。明日の自分のためのメモ時間
終礼では、進捗や翌日の段取りを共有しつつ、「今日うまくいったこと・つまずいたこと」を簡単に振り返ります。1年目はここで先輩に質問することも多く、「あの色、なぜあの配合にしたんですか?」「さっきの失敗、次はどう直せばいいですか?」といった具体的な疑問を解消。
その後は道具のメンテナンスと片付けをして退社。細かい作業で目と手を酷使する仕事だからこそ、オンとオフをきっちり切り替え、翌日に疲れを残さないことも大切な“プロの習慣”です。
入社前からできる「伸びやすい人」の練習法
技術職の土台は、入社前から少しずつ育てられます。おすすめは次のような習慣です。
・色鉛筆で、身の回りのモノの色を本気で再現してみる
・模型づくりやプラモデル、刺繍など「細かい手作業」を毎日15分続ける
・1つの作品を最後まで仕上げる経験を意識的に増やす
こうした積み重ねが、「色を見る目」「手の感覚」「最後までやり切る力」につながります。入社後のOJTは、この土台があるほど吸収が早くなり、より早く「本物の技術」に近づいていけます。