プラモデル好きの20代が「職人の世界」に飛び込むまで
現在30代前半のAさんは、前職は家電量販店の販売スタッフ。細かい作業が好きで、休日はプラモデルづくりと靴磨きが何よりの楽しみでした。一方で、「このまま接客だけで終わるのか」「手に職をつけたい」というモヤモヤも抱えていたと言います。そんなときに出会ったのが、革製品リペア専門の株式会社レザーアート。世界の名品を修理・復元する仕事だと知り、「趣味レベルのこだわりが活かせるかもしれない」と転職を決意しました。
「本当に未経験で大丈夫?」入社前の不安とギャップ
Aさんが一番不安だったのは「専門学校も出ていない自分に、ブランド品を任せてもらえるのか」という点でした。さらに、「職人の世界は厳しそう」「納期に追われてピリピリしているのでは」といったイメージもあったと言います。実際に面接や工房見学で感じたのは、ベテランから若手までが声を掛け合い、失敗を一人で抱え込ませない雰囲気でした。1961年創業の歴史と、100人規模の職人集団という安心感が、不安を大きく和らげてくれたそうです。
入社後3か月の研修と「1年目で任された仕事」
入社後はまず、革の基礎知識や工具の扱い方を学ぶ座学と実技からスタート。実際のブランド品ではなく、テスト用のパーツやサンプルを使いながら、「縫う・削る・磨く」といった基本動作を体で覚えます。3か月ほどで、補強や簡単なミシン作業など、工程の一部を担当できるように。1年目の終わりには、小さなパーツ交換や色補正の下準備など、「自分がやった部分がそのままお客様の手元に届く」仕事も任されるようになったといいます。
趣味のこだわりが活きる瞬間――どの工程で役立つのか
プラモデルや靴磨きで培った「細部へのこだわり」は、想像以上に現場で役立ちます。例えば、
- パーツの段差や隙間をなくす調整力は、革のヨレや段差をならす作業に
- 微妙な色の違いを見分ける目は、色補正や塗装のチェックに
- 道具をきれいに保つクセは、ミシンやブラシ、溶剤管理に
といった形で、各工程に直結します。Aさん自身、「趣味で当たり前にやっていたことが、そのまま評価されるのは驚きだった」と話しています。
レザーアートだからこそ得られる安心感と将来像
レザーアートには、東京・大阪あわせて約100人のスタッフが在籍し、半世紀以上にわたり世界のトップブランド製品を500万点以上リペアしてきた実績があります。特徴的なのは、技術と同等以上に「品質管理」を重視する文化です。複数人でのチェック体制により、1人の判断に依存せず、ミスを防ぐ仕組みが整っています。Aさんは、「自分一人ではなくチームで名品を守る」という感覚が、長く続けられる安心感につながっていると語ります。
今日から試せる「応募前にやっておくと有利な3つの行動」
未経験から一歩踏み出したい人に、Aさんが勧める準備は次の3つです。
- 道具のメンテナンス記録をつけてみる(靴磨き道具や模型用工具の状態や手入れ日をメモ)
- 色の違いを記録する練習(布や革、小物などの色を写真とメモで残し、微妙な違いを言葉にする)
- 単純作業を1時間集中してやってみる(ヤスリがけ、磨き作業などを時間を決めて継続)
これらはすべて、実際の現場で求められる「観察力・記録力・集中力」と直結する要素です。日常の延長線上で試してみることで、「自分にも向いているか」を具体的にイメージできるはずです。