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その「没頭癖」、実は一生モノの武器です。――未経験25〜35歳がレザーアートで職人として覚醒するまで

ハイブランドメンテナンス , 技術継承の仕組み , 未経験職人育成 , 観察力と手仕事 , 革製品修理

2026.03.03

プラモデル好きが、世界的ハイブランドのバッグを任されるまで

大阪府八尾市に本社を構える株式会社レザーアートは、世界のトップブランドから預かったバッグやシューズ、財布、ジュエリーを年間15万〜18万点修理する「リペア専門企業」です。技術部には約100名の職人が在籍し、その多くがもともと「プラモデル好き」「靴磨きが趣味」といった、手作業への“没頭癖”を持つ人たち。25〜35歳で異業種から飛び込んだ未経験者も少なくありません。

創業以来一貫して大切にしてきたのは、「価値あるものを未来につなぐ」という理念と、「約束は必ず守る」という職人としての責任感。お客様の思い出が詰まった一点物を、どこを直したか分からないレベルまで自然に蘇らせるため、地道な技術と観察力を磨き続けています。

未経験入社1年目のリアル:まずは「壊さない」「汚さない」から

最初の半年で身につけること

25〜35歳で入社した未経験者が最初に学ぶのは、高度な技ではなく「基本の徹底」です。

  • 革の種類やブランドごとの特徴を知る座学
  • 検品・写真撮影・カルテ作成などの前工程
  • 簡単なクリーニング、ブラッシング、保湿ケア
  • 糸止め、コバ磨きなど、失敗してもリカバーしやすい作業

1年目の一日の流れは、おおよそ次のイメージです。

  • 午前:先輩と一緒に当日の修理品を検品、作業内容の確認
  • 日中:クリーニングや簡単な補修を担当。仕上がりは必ず先輩がチェック
  • 終業前:その日の作業を振り返り、写真を見ながら改善点をフィードバック

「昨日よりも0.1mmきれいに」「前回よりムラが少ない」といった“質の伸び”を口頭だけでなく実物で確認するため、細部の変化に気づく観察力が自然と鍛えられていきます。

3年目で見える世界:「新品同様」ではなく「思い出ごと再生する」

難易度の高いリペアを任されるまでのステップ

入社3年目になると、担当できる仕事の幅が一気に広がります。

  • かかとの交換、ソールの張り替えなど靴の本格修理
  • ファスナー交換、持ち手の付け替えなど構造に踏み込む作業
  • 色あせたバッグの全体補色や、部分ごとの繊細な調色

一日の中で複数点のリペアを進めつつも、一本のステッチ、わずかな色ムラまで妥協しないことが求められます。マニュアル通りに進まないトラブルも多く、「どうすれば元の雰囲気を壊さずに強度を上げられるか」を自分で考え、先輩と相談しながら解決していく過程が、職人としての“覚醒ポイント”になります。

レザーアートでは「数をこなしたから評価される」という発想ではなく、「難しい一品にどう向き合ったか」「前回よりどこを良くできたか」といった質的な成長を重視。これが、成長志向の強い20代・30代にとって、大きなやりがいになっています。

レザーアートらしい育成環境:組織で技術を守る

創業者が個人店として始めたレザーアートは、カリスマ性だけに頼らず「組織として技術を継承する」方向へ舵を切ってきました。現在は役職制度やチーム編成を整え、補強、ミシン、調色など工程ごとの専門チームが連携して一つの製品を仕上げます。

100人の職人に共通しているのは、「もったいない」を大切にする姿勢です。輪ゴム一つ、端材一枚も無駄にしない。こうした文化があるからこそ、お客様のバッグや靴も「まだ使える」「もっと使える」と本気で向き合える。その精神は、「納期は絶対に守る」という創業時のエピソードとともに、今も受け継がれています。

また、社員の家族を工房に招く「ファミリーデー」、工場を一般公開するイベントへの参加など、自分たちの仕事の価値を再認識できる場づくりにも力を入れています。「世界のブランドを支える職人」として胸を張れる環境があることも、長く働き続けられる理由の一つです。

応募前に試せる、自宅でできる3つのトレーニング

最後に、「自分に向いているのか確かめたい」という方に向けて、自宅でできる簡単なトレーニングを3つ紹介します。

  1. 色合わせトレーニング水彩絵の具や模型用塗料で、市販の靴やバッグの色にどこまで近づけられるか試してみてください。「あと一滴だけ黒を足す」といった細かな調整が楽しめるなら、調色作業に向いています。
  2. 細部チェック習慣手持ちの革靴やバッグをルーペやスマホの拡大機能で観察し、ステッチのピッチ、コバの仕上げ、シワの入り方などをノートにメモしてみましょう。0.1mmのズレに気づけるかがポイントです。
  3. 「一日一メンテナンス」ルール毎日10〜15分だけ、自転車のネジ締め、楽器の手入れ、靴磨きなど何か一つメンテナンス作業を続けてみましょう。「面倒より、気持ちいい」が勝つタイプなら、職人の仕事に必要な粘り強さがあります。

プラモデルや靴磨きに何時間も没頭できる。その「没頭癖」は、レザーアートのような現場では確かな武器になります。世界の名品と向き合いながら、自分の手で価値を未来へつないでいく――そんなキャリアのイメージが少しでも具体的になれば幸いです。