プラモデルに没頭していた学生時代。「これ、仕事にならないよな…」
――子どものころから、どんなタイプでしたか?
「とにかく細かい作業が好きでした。プラモデルを一日中いじって、パーツのバリ取りとか、色の塗り分けにこだわって。友だちからは『よく飽きないね』って言われてました(笑)。」
――それを仕事にしようとは?
「全然思ってなかったです。周りは営業職とか事務職を目指していて、『趣味は趣味、仕事は仕事』と自分でも線を引いていました。『こんな細かい作業、就活のネタにもならないよな』と半分あきらめてた感じですね。」
レザーアートを知ったきっかけは「靴磨きがほめられた一言」
――革の仕事に興味を持ったきっかけは?
「社会人1年目で買った革靴を、毎週末ピカピカに磨いていたんです。ある日先輩に『その靴、いつもきれいだな』って言われて。そこで初めて『自分はこういう細かいケアが好きなんだ』と気づいて。」
「そこからネットで“革仕事”みたいに検索してたときに、ブランド品の修理をしているレザーアートを見つけました。『世界のブランドを直す』『どこを直したかわからない仕上がり』の言葉に、プラモデルのこだわりと通じるものを感じたんです。」
未経験OKって本当?応募前に抱えていた3つの不安
――応募前、不安はありましたか?
「むしろ不安しかなかったです(笑)。具体的には、
・本当に未経験でもやっていけるのか
・ブランド品を傷つけたらどうしようというプレッシャー
・自分の“趣味レベル”の器用さで通用するのか
この3つですね。」
「ただ、サイトに『100人の職人がチームで対応』『研修と品質管理』とあって、“一人で抱え込む仕事じゃないんだ”とわかり、思い切って応募しました。」
面接で「プラモデル愛」をどう伝えたか──趣味のこだわりを話すコツ
――面接では何を聞かれましたか?
「技術より、『どれくらいコツコツ続けられるか』を深掘りされました。そこで、プラモデルをどんな手順で作っているか、失敗したときどうリカバリーしたかを、具体的に話しました。」
――趣味を伝えるコツは?
- “どれだけ続けているか”という期間
- “どこにこだわっているか”というポイント
- “うまくいかなかったときの工夫”というエピソード
「この3つをセットで話すと、『この人は仕事でも粘れるな』と伝わりやすいと感じました。」
入社後3か月で感じたギャップ。「毎日が初めての修理」
――実際に入社してみてどうでしたか?
「まず、想像以上に“チーム戦”でした。補強、ミシン、仕上げなど工程ごとに担当が分かれていて、一つのバッグを何人もの職人で仕上げていきます。」
「驚いたのは、同じブランド・同じ型でも、傷み方や色の抜け方が全部違うこと。先輩から『毎日が初めての仕事だと思え』と言われた意味が、3か月くらいでようやくわかってきました。」
「プラモデルは説明書通りに進めれば完成しますが、ここでは“説明書のない細かい作業”に挑む感覚です。」
世界のブランド品を任されるまでに大切だった「3つの習慣」
――今はどんな仕事を任されていますか?
「色補正や表面の仕上げなど、完成度に直結する部分を担当しています。数年前までは想像もしませんでした。」
――成長のカギになった習慣は?
- 作業前後に必ず“今日のゴール”をメモする
- 先輩の手元を見て、気になった点をその日のうちに質問する
- 失敗しかけたケースをノートにまとめておく
「この3つを続けたことで、任される範囲が少しずつ広がっていきました。」
未経験OKな職人系の会社を選ぶときの3つのポイント
――最後に、読者へのアドバイスをお願いします。
「未経験から“手に職”を目指すなら、次の3つは必ずチェックしたほうがいいと思います。」
- 先輩職人がどれくらい在籍し、技術継承の仕組みがあるか
- 品質管理やチェック体制が言葉だけでなく、実務として整っているか
- 1点ものから大量ロットまで、幅広い案件があるか
「細かい作業に没頭できる人は、それ自体が立派な“素質”です。その感覚を大事にしながら、自分が長く向き合える現場を選んでほしいですね。」