受付〜検品:すべては「持ち主の声」を聞くところから
朝一番に届くのは、全国の百貨店やインポートブティックから集まる数々のバッグやシューズ。受付チームはまず、破損箇所だけでなく、「いつから使っているのか」「どんな場面で困っているのか」といった背景まで丁寧にヒアリングします。
その情報をもとに検品担当が状態を細かく確認。擦れや色落ち、ほつれ、金具のゆるみなどを写真に残し、カルテのように記録します。ここでの見落としは後工程のリスクにつながるため、スピードと正確さの両立が求められます。
分解〜補強:元の設計を読み解きながら「長く使える」形へ
検品後は、分解チームが慎重にパーツをほどきます。他社が生んだ独自構造を理解しつつ、どこまで手を入れるかを判断する工程です。
続く補強チームでは、見えない部分に芯材を足したり、弱くなった箇所を縫い直す下準備を行います。愛用されてきた歴史を尊重しながら、これから先も安心して使えるようにするのが役割です。写真にすると地味なシーンですが、耐久性を左右する「影の主役」といえる工程です。
ミシン〜仕上げ:どこを直したかわからない「自然さ」をつくる
補強を終えたパーツは、専門のミシンチームへ。分厚い革、細いベルト、カーブの多いポケットなど、それぞれに適したミシンと糸を選び、元のステッチピッチやテンションを再現します。
その後の仕上げチームでは、色の補正、コバ(革の断面)処理、小さな汚れ落としまで担当。光の当たり方を変えながら全体のバランスを確認し、「新品ではないが、もっと使いたくなる状態」へ整えます。ここで初めて、全体の完成イメージが姿を現します。
品質管理:100人の仕事を束ねる「最後の砦」
すべての工程を終えた製品は、品質管理チームに集められます。チェック項目は、技術面だけではありません。
・依頼内容がきちんと反映されているか
・色むら、縫製、メッキの仕上がりに問題がないか
・糸くずやハギレが残っていないか
などを複数名で確認し、納期通りに出荷できるようスケジュールも管理します。「来たときよりも強く、美しく」という基準を満たさないものは、工程に差し戻されることもあります。
未経験3年目スタッフの1日タイムライン
未経験入社3年目・仕上げ担当スタッフの1日例です。
・9:00朝礼・前日の振り返り、当日の案件確認
・9:30色補正用の塗料づくり、テストピースで色合わせ
・11:00前日からの続き案件を仕上げ、品質管理へ引き渡し
・13:00新規入荷分の軽微な補修作業を集中して処理
・15:00難易度の高い案件を先輩と二人三脚で対応
・17:00翌日分の段取り、工具・作業台のメンテナンス
毎日扱うモノも技術も違うため、「慣れた頃にまた新しい発見がある」という環境です。
プレッシャーをやりがいに変えるコツと段取り術
「失敗が許されない」と聞くと身構えがちですが、現場では次のような工夫でプレッシャーを味方にしています。
・作業前に、リスクになりそうな箇所を先輩と共有しておく
・難易度の高い工程ほど、細かく分けてスケジュールを立てる
・1日の終わりに「できたこと」「次に改善したいこと」をメモに残す
こうした段取りを徹底することで、納期を守りながら品質も高めるスタイルが根づいています。緊張感はありますが、その分、完成品を手にした瞬間の達成感も大きい現場です。