ブランド品リペア職人の役割とは
大阪府八尾市に本社を置く株式会社レザーアートは、世界的ブランドのバッグや靴、財布、コスチュームジュエリーなどを年間15万〜18万点修理する「ブランド品リペア専門企業」です。 技術スタッフは、オーナーの思い出が詰まった一点物を預かり、「どこを直したか分からない」自然な仕上がりを目指して復元します。
1日のタイムスケジュール
あくまで一例ですが、未経験入社2〜3年目の技術スタッフの流れは次のようなイメージです。
8:30〜9:00出社・朝礼・本日の段取り確認
工房に入り、工具やミシンの状態をチェック。朝礼ではチームごとに前日の進捗と本日の目標件数、優先度の高い案件(たとえば「〇日必着のハイブランドバッグ」など)を確認します。
9:00〜10:00入荷品の検品・状態確認
営業スタッフや取引先から届いたバッグや靴を検品します。 傷の位置、色ヤケ、糸のほつれ、金具の緩みなどを細かくチェックし、作業指示書と照らし合わせて内容を整理。観察力が問われる工程です。
10:00〜12:00修理作業(色補修・パーツ交換など)
色補修担当の場合は、革サンプルに塗料を少しずつ混ぜて調色し、元の色に近づけていきます。 ミシン担当であれば、ほつれた持ち手の縫い直しや裏地交換などを担当。0.数ミリのズレも目立つため、慎重さと集中力が求められます。
13:00〜16:00修理作業の続き(仕上げ・最終チェック)
午後は仕上げに入る案件が中心です。色補修後の艶出し、コバ処理、ミシン跡の確認、金具のぐらつきチェックなど、「遠目で見ても違和感がないか」を入念に確認します。 ベテランの先輩に仕上がりを見てもらい、フィードバックを受けながら精度を高めていきます。
16:00〜17:30検品・出荷準備・片付け
品質管理担当とともにダブルチェックを行い、糸くずや革の切れ端が残っていないか、ブランドの品格を損ねる要素がないかを確認。 その後、出荷用の梱包作業を行い、工具のメンテナンスと作業台の清掃をして一日が終わります。
1週間の仕事のリズム
- 月〜水:入荷品が多く、検品と基本作業(分解、下処理、パーツ準備)が中心
- 木〜金:色補修や縫製の山場。納期が近い案件を優先処理
- 週後半:仕上げと最終検品が増え、品質管理チームとの連携が濃くなる
未経験者は、最初は簡単なパーツ交換や下処理からスタートし、数カ月〜数年かけて色補修や難易度の高い縫製へとステップアップしていきます。
「没頭癖」が仕事の強みになる理由
プラモデルの塗装で色を微調整したり、靴磨きで鏡面仕上げにこだわったり。 こうした「周りが止めるまで作業を続けてしまう」没頭癖は、リペア職人にとって大きな強みです。
- プラモデル好き:調色センスが色補修に直結
- 靴磨きや自転車整備:素材ごとの扱い方を変える感覚が、革・金具・糸の扱いに活きる
- ジグソーパズルや刺繍:長時間同じ姿勢で集中し続けられる持久力が、そのまま生産性と品質に結びつく
「趣味でやってきた細かい作業」が、そのままプロの技術に変わっていく仕事です。
3分で分かる「向いている人」チェックリスト
次のうち、いくつ当てはまるか数えてみてください。
- 細かなキズや色ムラにすぐ気づいてしまう
- プラモデルやDIYで、説明書通りに組み立てるのが得意
- 靴やバッグを自分で手入れするのが好き
- 同じ作業でも「昨日より上手くできたか」が気になる
- 約束や締切は絶対に守りたいタイプだ
- 道具や文房具を長く大切に使うほうだ
- 地味な下準備作業も「必要ならやるしかない」と思える
5個以上当てはまる方は、ブランド品リペア職人の適性が高いといえます。
応募前にできる簡単“適性セルフテスト”
10分集中作業トレーニング
- コピー用紙1枚とシャーペンを用意する
- 1マス5mm角の方眼を、定規を使わずフリーハンドで10分間ひたすら描き続ける
- 時間後、自分で線のブレやマス目の大きさの違いをチェックする
10分間、集中を切らさずに線を引き続けられるか。終わったあと、自分で「もっと揃えたい」と感じるか。 この2点が、リペア職人の素養を測る簡単な物差しになります。
色感覚セルフチェック
- 家にある茶色や黒の革製品を1つ選ぶ
- 手持ちの絵の具やペンで、できる限り近い色を再現してみる
- 自然光の下で見比べ、どこが違うか言葉にしてみる(赤み、黄み、明るさなど)
微妙な違いを言葉にできるほど、実際の調色トレーニングでも成長が早くなります。
「価値あるものを未来につなぐ」仕事
ブランド品リペア職人の一日は、派手さはありませんが、「使えなくなった大切なものが、また使えるようになる」という確かな手応えに満ちています。 プラモデルや靴磨きで培った没頭癖と観察眼を活かしながら、オーナーの思い出とブランドの価値を未来へつないでいく。 そんな職人たちの現場が、レザーアートの工房には広がっています。